嘘日記。

おおむね嘘を書いている。

9/28

おおむね嘘の日記を書く。

本当のことを書くのが苦手なのだ。

 

 

かわいい化粧品が大好きなので、キラキラしたアイシャドウをいっぱい買った。

塗っていちばん気分が上がるのは口紅なので、赤やオレンジやピンクや、ちょっと個性的なパープルとかグリーンまで色々買った。

そうしたらマスカラだっていろんな色でまつ毛をぐいーんと上げたくなって、黒に茶色に青に赤に、たくさん揃えた。もちろんいちばんたくさん色を使える、マニキュアを壁一面に集めて飾った。爪ならどんな色を塗ったって自由だ。

 

買ったお化粧品たちは全部かわいい。ぜーんぶ気に入ってる。

どれもこれも毎日使いたいけど、目はふたつに唇はひとつしかない。爪は10本あるからまだいくつも色を使えるけど、それでも使いきれないくらい壁を見上げればカラフルな小瓶が揃っている。

 

ぜーんぶ使いたいので、顔を増やした。首からニョキニョキと顔を生やして、そのたび目がふたつと唇がひとつ増えていった。爪も増やしたいけど体は別にたくさん要らなかったし、腕は3、4本くらいの追加におさめておいた。

顔を限界まで増やしたら、日本史の教科書で見た怒った顔の仏像みたいに360度視界が開けて気分が上がった。腕も合掌して真似をしてみた。楽しい。

増えた目に全部違う色のアイシャドウを塗って、唇もカラフルにあれこれ塗った。

鏡を見たら、ありがたみが一ミリもないルンルンした顔の仏像が映っていて、ご利益は別にないかもしれないけど見た人がカワイイ〜って喜んでくれたらいいな、という気持ちになった。そのままわたしは体をむくむく大きくして、お化粧品の色はそのままに全身金ピカの仏像になって、近くにあった適当なお寺の側に立って、そこからずっと体が風化して砂になって消える日まで世界中のカワイイものが好きなみんなのためのラブリー仏像になって、いろんな人がスマホでわたしと記念写真を撮って帰るのを楽しんだ。