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おおむね嘘の日記を書く。
本当のことを書くのが苦手なのだ。
電車を待っていたら目の前で人が線路に飛び込んだ。
滑り込んできた電車が急ブレーキをかけて、ホームにいた人々がざわつき始めた。
アナウンスが聞こえてきたけど、人いきれで急に気持ちが悪くなってうずくまった。
ママが大丈夫?と声をかけながら一緒にしゃがんでくれたので、
だいじょうぶ、と答えようとしたけどうまくいかなくて、
ママの顔と手にちょっとだけわたしは吐いてしまった。
朝ごはんが大好きなブルーベリーだったので、紫色のげろだった。
ママは自分の顎からぽたぽた垂れてくる紫のヨーグルトみたいな液体を見て、ゲラゲラ笑った。
ね、これパパとタクトにも見せたいね。
タッくんはびっくりしてまたしゃっくりが出ちゃうよ。
この顔のまま帰ろうかな。
ママその顔で電車に乗ったら、通報されちゃうよ。しばらく電車は動かないかもしれないけど。
そうだね。残念だけど落としてくる。あっ、スマホで写真だけ撮ってパパに送るね。
二人で大笑いしていたらわたしの気持ち悪いのもいつの間にかおさまって、不機嫌そうにホームに行列しているたくさんの人たちをかき分けてトイレで一緒に顔を洗い、駅中の喫茶店でかき氷を食べてママと二人でタクシーで家に帰った。